アービトラージの解説と注意点
アービトラージ(Arbitrage)とは、異なるブックメーカー間のオッズの差を利用し、理論上リスクをゼロにして利益を得るベット方法です。
俗に「必勝法」とも呼ばれることがありますが、その仕組みは非常にシンプルです。具体的には、同じ試合に対し、異なる結果にそれぞれベットし、どの結果になっても一定の利益を確保する手法です。
たとえば、AブックメーカーがチームXの勝利に対して高いオッズを提示し、BブックメーカーがチームYの勝利に高いオッズを提示している場合、その差を利用して両者にベットすることで、どちらの結果になっても利益が出るようになります。このような状況を「アービトラージチャンス」と呼びます。
アービトラージの成功の鍵は、オッズの差を見つけることにありますが、この作業は想像以上に難しいものです。まず、複数のブックメーカーが同じ試合に対して提示するオッズは、基本的に同じ傾向になります。
そのため、大きな差が生じることは少なく、短期間で消えてしまうこともあります。特に注目度の高い試合ほど、多くのユーザーが監視しているため、アービトラージチャンスは短命です。
また、オッズ比較サイトを利用しても、実際のサイトにアクセスした際にオッズが変動している場合があります。このため、情報が正確であるタイミングを見極める必要があります。
アービトラージは、「オッズの差が利益を生むギャップの状態を狙う」という性質上、そのわずかな時間を逃さない迅速さが求められるのです。
アービトラージは理論上「負けない」方法とされていますが、多くのブックメーカーではこの手法を禁止しています。その理由は、アービトラージがブックメーカーの利益構造を脅かす存在であるためです。
もし多くのユーザーがこの手法を利用すれば、ブックメーカー側はリスクを負い続けることになり、経営が立ち行かなくなる可能性があります。
そのため、ブックメーカーはアービトラージの兆候を監視するシステムを導入しています。たとえば、不自然なタイミングでの大量ベットや、異常に多くの異なる試合にベットしているアカウントは、ペナルティを受けることがあります。
ペナルティの内容としては、アカウントの制限、配当金の没収、最悪の場合はアカウント凍結が挙げられます。
また、一部のブックメーカーは、規約内に「不正な方法による利益獲得を目的とした行動を禁止する」と明記しており、アービトラージベットを行う利用者に対して厳格な対応を取っています。そのため、こうしたルールを理解せずにアービトラージを行うと、得た利益が没収されてしまうリスクもあります。